「直流マインド」関西と四国を結ぶ電気のかけ橋

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  • 甲子園球場約3個分の面積を有する紀北変換所
  • 高野山大門より紀北変換所を望むことができる
  • ヒューマンエラーのないよう、指差呼称を徹底
  • 設備の一つひとつをくまなく点検する
  • 直流から交流に変換する「サイリスタバルブ」
  • サイリスタバルブ周辺に異常がないか望遠鏡を用いて点検を行う
  • サイリスタバルブに設置されているサイリスタ素子と冷却設備
  • サイリスタバルブを構成しているサイリスタ素子
  • サイリスタバルブの地下内にある冷却設備を点検する所員
  • 交流設備に比べコンパクトな直流設備が建ち並ぶ
  • サイリスタバルブに接続されている直流25万ボルト碍子
  • 交流50万ボルトの設備を注意深く点検する
  • 四国から直流で送り届ける電気は紀北変換所で交流に変換し、関西へと送り届けられる

関西と四国を結ぶ電気のかけ橋紀北変換所

豊かな自然に恵まれ、また高野山にゆかりが深く多くの文化財を擁する和歌山県かつらぎ町。温暖な気候のため古くから果樹栽培が盛んで、日本有数の柿の生産量を誇り、なかでも正月に使われる串柿で全国にその名が知られているこの町に、紀伊水道直流連系設備のひとつ「紀北変換所」はあります。

海を渡って、四国・徳島から関西へと電気が送られるようになっていることをご存知でしょうか。

四国電力管内で発電された電気は、一旦阿南変換所(徳島県阿南市)で直流に変換され、紀伊水道に敷設された48.9kmの地中送電線(うち海底部46.5km)を通って、和歌山県由良町にある由良開閉所を経由。そこから地上の送電線(架空線)50.9kmを通って、紀北変換所へ送られ、そこで再び交流に変換された後、関西のみなさまの元へ送り届けられます。

日本初の50万ボルト直流送電に向けて

2000年に建設された紀北変換所は25万ボルト直流送電で運転を開始しましたが、大容量の送電を可能にするため国内初の50万ボルト直流送電線をはじめとした、さまざまな新技術を開発・導入しました。

なかでも、直流・交流を変換するためのサイリスタバルブと呼ばれる設備は、低損失化、コンパクト化を狙って高電圧大容量のサイリスタ素子(※)が開発されました。また、新しい変換所制御保護技術の開発を行い、四国地域と関西地域の電力の安定供給に大きな役目を果たしています。

※サイリスタバルブの主要部材である半導体で作られた素子。直流・交流の信号を受けた際にスイッチが入って電気を送る。

「直流マインド」~直流設備の保守技術を磨くために~

直流設備では専門的な知識・技能を基にした対応が求められるため、保守技術を磨くために、日々の点検業務にも力を入れています。例えば、サイリスタバルブの点検時には、サイリスタバルブの運転に伴って発せられる熱によって、設置室内が真冬でも約30℃近くなることもありますが、防塵服を着用し、望遠鏡を用いながら、設備に異変がないか、集中しながらくまなく点検を行います。

大容量の直流を扱う設備は当社では唯一であり、また、国内でも限られているため、紀北変換所では、直流送電設備固有の理解を深めるために、月に数回、模擬訓練装置であるシミュレーターを使い、思わぬ事態に備えた訓練を重ねることで技術継承を図っています。

大切な電気をみなさまにお届けするために。今日も「直流マインド」を持った所員が一丸となって取り組んでいます。