深夜のマンホール~人知れず電気を繋ぐプロ集団~
道路の下に張り巡らされた地中送電線
発電所で作られた電気を皆さまにお届けするために欠かせない送電線。鉄塔等を用いた「架空送電線」が一般的ですが、鉄塔や架空送電線の設置が困難な都市部などでは、道路の下に敷設した電力ケーブル等を用いた「地中送電線」が張り巡らされています。
道路上では様々なマンホールの蓋を見ることができますが、当社も道路の地下スペースにマンホールなどの地中送電設備を多数設置しており、電気を安定してお届けするために日夜設備の点検や改修を行っています。
深夜のマンホール~人知れず電気を繋ぐプロ集団~
地中送電設備の日常点検や設備改修の際には、マンホールに入る必要があるため、道路を占用して作業を行います。今回の工事は、交通量の多い幹線道路の下に400メートルの電力ケーブルを通すというもの。渋滞緩和のため、深夜に作業を終了させなければなりません。
作業準備は夜10時にスタート。はじめに歩行者や運転者の安全に配慮しつつ工事区画を作ります。そして、マンホール内では酸欠になる可能性があるため、風を送り作業員の安全を確保した後に、実際の作業に移っていきます。
作業は大きく分けて2つ。1つ目は布設作業。ドラム車に載せた電力ケーブルを反対側のマンホールまでウインチ車のワイヤーで引いていきます。2つ目は接続作業。すでに設置を終えている電力ケーブルとの接続を行います。
布設作業では、400メートルで重さ6Tもある電力ケーブルをたるみ無く傷つけず通すために、作業員同士の綿密な連携が欠かせません。ドラム車とウインチ車の息を合わせた同時作業には、地上と地下のこまめな連絡はもちろんのこと、ベテラン操作員による繊細な力加減と精密な操作が求められます。
深夜1時、約3時間かけて400メートルの電力ケーブルが地中に通りました。
次に、すでに設置してある電力ケーブルとの接続を行っていきます。接続に不要な部分を切断し、絶縁体の処理をしていきます。ここで使用する道具はなんとガラス片。ガラス片を用いて、ミリ単位で絶縁体の処理を行い、真円に削っていく様子はまさに熟練の技。度重なる寸法チェックに徹底された傷、異物のチェック。マンホールの中の限られたスペースで、電気を繋ぐために作業を進めていき、ついに接続が完了しました。
計算されつくした工程、徹底された安全対策。一人ひとりが熟練の技を駆使してチームワークを持って作業に取り組み、夜間という限られた時間内で地中送電線が繋がりました。
深夜、人目に付かないマンホールの中には、ライフラインを守るプロ集団がいました。発電所で発電された電気を皆さまにお届けするため、彼らは今日もどこかで電気を繋いでいます。
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