需要と供給のバランス

需要と供給のバランスについて

電気は大量に貯蔵ができないため、常に需要に合わせ供給を調整し、バランスを保つ必要があります。

このバランスが崩れると、電気の品質のひとつである周波数を60Hzに保てなくなり、最悪の場合、大規模停電が発生する恐れがあります。

周波数を一定にするために、日々刻々と変化する需要と供給のバランスを保つことが必要となります。

需要と供給のバランスを表したイメージ図

需要の変動理由

電力需要は、お客さまの電気の使われ方により時々刻々変動しています。

変動する要因としては、ご家庭における空調や照明のご利用状況、オフィスビルや工場の操業など様々なものがあります。

電力需要については、天候や気温、平日、休日などの違いによって変動するため、電力会社では、外部の気象予測専門機関が想定している気象予報や曜日の特性、至近の使用電力実績などをもとに、時々刻々の電力需要の予想を行っています。

季節による需要の変動を表したグラフ(イメージ)
平日と休日による需要の変動を表したグラフ(イメージ)

供給力の変動理由

供給力も予想最大電力と同様に日々増減します。これにも様々な理由があります。

ある1週間の供給力の変動(イメージ)

ある1週間の供給力の変動(イメージ)

電力需要と日々のピーク時供給力の関係

発電設備量の合計から、メンテナンスなどによる発電機停止、河川の水量減少による出力低下など、供給力減少分を差し引いたものが「ピーク時供給力」です。ピーク時供給力と予想最大電力の差が予備力となります。

1日を通した電力需要のイメージ

1日を通した電力需要のイメージ

ブラックアウトを防ぐために(周波数低下リレー(UFR)について)

地震などの影響により複数の発電所が停止すると、稼働中の発電所の緊急的な出力増加や、他の送配電会社からの融通電力の受電などにより、需給バランスの安定化を図ります。しかし、それでも需要が供給力を上回る場合は、急激に周波数が低下することになります。

周波数が大幅に低下した状態では、稼働中の発電所も安定して運転できないため、順次電力系統から切り離され、最悪の場合は広範囲におよぶ大規模な停電(ブラックアウト)が発生します。

このような最悪の事態を回避するための仕組みの一つとして、一部の需要を緊急的に遮断する「周波数低下リレー(UFR)」が整備されています。

大幅な周波数低下により「周波数低下リレー(UFR)」が作動すると、電力系統から一部の需要を強制的に切り離し(送電停止)、不足している供給力とのバランスを取ることで、周波数の回復を図ります。あくまで緊急的な措置となりますが、これにより、一部で停電は発生するものの、不測の広範囲におよぶ大規模な停電(ブラックアウト)を回避することができます。

なお、60ヘルツ(Hz)帯である西日本(中部・北陸・関西・中国・四国・九州エリア)では地域全体が連系されているため、関西エリア以外の場所で複数の発電所が停止して西日本エリア全体の需給バランスが崩れた場合にも、電力系統から一定量の需要を強制的に切り離す(送電停止)ことがあります。

発電機の同時停止等による供給力の大きな低下
一部の需要を強制的に遮断し、周波数を回復

また、UFRにより周波数を安定化した後は、稼働中の発電所の出力を増加させたり、他エリアからの融通電力の受電などにより供給力を確保して順に送電を再開し、停電を復旧していきます。

このように、送配電会社として、地震などの影響で複数の発電所が停止して大規模な供給力の減少が発生した場合にも、ブラックアウトに陥ることを防ぎ、電気を早期に復旧できるよう努めています。

供給力の増加にあわせて、順に送電再開し、稼働中の電源の出力増加・他エリアからの融通により
全復旧

参考: 資源エネルギー庁スペシャルコンテンツ