高経年化設備への対応
当社が保有する電力流通設備
当社は、関西エリア一円に施設した膨大な物量の電力流通設備を適切にメンテナンスし、日々、電気の安全・安定供給を支えています。
フリックしてご覧ください。
鉄塔基数
31,411 基
変圧器台数
2,938 台
コンクリート柱本数
270 万本
- ※2020年3月末時点
関西エリアの電力需要と電力流通設備の関係
これまで当社は、高度経済成長期の旺盛な電力需要の伸びに合わせて、電力流通設備を大量に建設してきました。
一方で、近年では節電や省エネ機器の普及などにより、電力需要は横ばい・減少傾向にあることから、電力流通設備の建設機会は減少し、既存設備の維持メンテナンスへと取組みの中心がシフトしていきました。
フリックしてご覧ください。
電力流通設備が高経年化することによる影響
大量の電力流通設備が「高経年化」していくことに伴い、劣化の進行した設備が増加し、メンテナンスの必要な物量が大幅に増加していくと考えられます。そのような状況が懸念される中、将来にわたって、お客さまに 「安全」・「安定」・「低廉」 な電気をお届けし続けるために、適切なメンテナンスを行い、高経年化対策に取り組んでいく必要があると考えています。
劣化の進行した例
以下のような劣化の増加が懸念されます
経年による鉄塔の劣化
(鉄塔部材の発錆)
経年による変圧器の劣化
(変圧器からの漏油)
経年による電柱の劣化
(コンクリートの剥離)
(内部鉄筋の錆)
高経年化対策の取組み
高経年化対策について、安全・安定供給を維持しながら、メンテナンス費用の増加をできるだけ抑制していけるよう、以下のような観点の取組みを進めています。
新技術の活用・イノベーション・施工力の確保
電力流通設備の経年分布(高経年化の状況)
多くの電力流通設備について、経年分布からも高度経済成長期などに施設した設備の取替物量が増加傾向となることで、電力流通設備に関する取替費用の上昇傾向が見込まれます。そうした環境の中、当社としてお客さまへのサービスレベルを維持し、将来の託送料金を最大限抑制するために、高経年化に対する様々な取組みや工事の更新物量時期など適正となるように設備投資計画を立案していくことが重要となります。
鉄塔
フリックしてご覧ください。
架空電線
フリックしてご覧ください。
地中ケーブル
フリックしてご覧ください。
変圧器
フリックしてご覧ください。
コンクリート柱
フリックしてご覧ください。
高経年化対策を踏まえた改修計画
高経年化対策については、『P:設備の不具合等を考慮した計画立案』、『D:設備の劣化状態を確認した上で計画実行』、『C:劣化分析による計画評価』、『A:評価結果を踏まえた改修周期の延伸等の計画改善』という順で毎年PDCAを回しながら、設備の劣化状態の評価を改修計画に反映しております。
フリックしてご覧ください。
高経年化対策における今後の方向性(アセットマネジメントの導入)
高経年化対策について、今後はIoT、AI等による最新のアセットマネジメントの知見を踏まえ、 設備の多種多様な情報を活用し、設備故障の「発生可能性」を把握するとともに、設備故障時の「影響度」についても評価することで、設備リスクを定量的に評価した上で、更新時期の最適化を検討してまいります。
将来的には、投資効果を最大化できるよう、総合的に設備投資を判断してまいります。
フリックしてご覧ください。
各設備における工事物量実績および今後の見通し
鉄塔
鉄塔は、年間170基程度の工事が必要です。
しかし、至近実績を踏まえると、更新物量の増加に対応するためには、施工力の確保および効率的な工事の実施が課題となります。
※工事物量実績および今後の見通しには、新設物量も含みます。
架空電線
架空電線は、年間160km程度の工事が必要です。
至近実績を踏まえると、現在の水準を維持することで長期的にも信頼度を維持した設備更新が可能です。
※工事物量実績および今後の見通しには、新設物量も含みます。
地中ケーブル
地中ケーブルは、年間110km程度の工事が必要です。
至近実績を踏まえると、現在の水準を維持することで長期的にも信頼度を維持した設備更新が可能です。
※工事物量実績および今後の見通しには、新設物量も含みます。
変圧器
変圧器は、年間60台程度の工事が必要です。
至近実績を踏まえると、現在の水準を維持することで長期的にも信頼度を維持した設備更新が可能です。
※工事物量実績および今後の見通しには、新設物量も含みます。
コンクリート柱
コンクリート電柱は、年間46,000本程度の工事が必要です。
しかし、至近実績を踏まえると、更新物量の増加に対応するためには、施工力の確保および効率的な工事の実施が課題となります。
※工事物量実績および今後の見通しには、新設物量も含みます。
施工力確保に向けた人材確保
本格化する高経年設備の維持更新に対応するにあたり、将来にわたる持続可能な施工力の確保に課題があると考えています。その中で一般送配電事業者として、各設備の更新物量で示した通り、改修物量を徐々に増加させつつ、施工力の確保に取り組んでいく必要があります。
施工力確保に向けて、機械化による省力化や休日取得・週休2日を考慮した工事計画の策定による労働環境の改善に加え、送電線建設技術研究会(関西支部)と協力してリクルートパンフレットを作成する等、新規入職者の確保に取組んでいます。
今後も、より働きやすい労働環境の整備や、職種の認知度向上等の施策を着実に実施することで、高度経済成長期に建設した流通設備の高経年化に備えていきます。
おわりに
今後、大量の設備が高経年化し、メンテナンス費用や改修費用の増加が懸念されますが、費用増加をできる限り抑制できるよう、より計画的かつ効率的に高経年化対策に取り組んでいきます。
安全・安定供給メニュー