広域需給調整について

 当社は、沖縄電力株式会社を除く9社の一般送配電事業者で、調整力の相互活用(以下、広域需給調整)を実施しています。
 広域需給調整は、当社エリア以外の一般送配電事業者が確保する調整力を相互に活用することで、調整力コストの低減を図るものです。

※一般送配電事業者が、周波数制御および需給バランス調整等を実施するにあたり必要となる電源等

これまでの需給調整について

これまでは、一般送配電事業者がエリア毎に需給バランス調整を行っていました。

例)Aエリアで不足インバランス(不足量250),Bエリアで余剰インバランス(余剰量100)が発生

フリックしてご覧ください。

インバランス不足発生エリア

エリア需要
不足分250不足分250 上げ調整
エリア発電

不足インバランス量は250

エリア毎に調整力を活用してインバランス調整を実施

地域間連系線

余剰インバランス発生エリア

エリア需要
100 余剰分100 下げ調整
エリア発電

余剰インバランス量は100

※インバランス:発電・需要電力量の30分ごとの計画値と実績値の差分

広域需給調整の概要

広域需給調整は、「インバランスネッティング」「広域メリットオーダー運用」の2ステップで行います。

このページでは、Aエリアで不足インバランス(不足量250)、Bエリアで余剰インバランス(余剰量100)が発生した際の対応を例にご説明します。

STEP1:インバランスネッティング

「インバランスネッティング」は、各エリアの余剰インバランスと不足インバランスを相殺することをいいます。

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インバランス不足発生エリア

エリア需要
インバランスネッティング前不足分250
融通分100
インバランスネッティング後不足分150
エリア発電

インバランスネッティング前の不足インバランス量は250

インバランスネッティング後の不足インバランス量は150

地域間連系線

余剰インバランス発生エリア

エリア需要
100融通
100
エリア発電

エリア間で発生するインバランスを相殺するため余剰インバランス発生エリア(B)から不足インバランス発生エリア(A)に余剰量100を融通する

  • ・Aエリアの調整必要量は、不足250⇒不足150
  • ・Bエリアの調整必要量は、余剰100⇒±0

調整必要量が低減

STEP2:広域メリットオーダー運用

「広域メリットオーダー運用」は、インバランスネッティング後の調整必要量に対し、各エリアから集約した調整力のメリットオーダーリストに基づいて調整量を配分することをいいます。

※調整力が発動した場合のコストが最も安価となるように、kWh単価に基づき安価なものから並べたリスト

フリックしてご覧ください。

エリア需要
融通分50
上げ調整100 上げ調整
融通分100
エリア発電

地域間連系線

エリア需要
100融通
50融通
50 上げ調整
100
100
エリア発電

Aエリアで残り50の上げ調整をするよりも調整力コストが安価

全エリアで150の上げ調整をするのに最も安価な組み合わせとなるように調整力の制御量を決定・配分する

  • ・Aエリアは、100の上げ調整
  • ・Bエリアは、50の上げ調整
が最も安価な組み合わせの場合、50をB→Aへ融通

調整力コストの低減

広域メリットオーダー運用なし

(Aエリア)

※数値はイメージ

(Bエリア)

※数値はイメージ

Aエリアにある調整力だけで不足分(150)の上げ調整を実施

広域メリットオーダー運用あり

※数値はイメージ

A,Bエリアにある調整力を安価なものから順番に発動する

⇒AエリアにあるA3の代わりにBエリアのB1が発動する (広域メリットオーダーする)ことで、調整力コストが低減

「広域ブロック」とは

連系線混雑のない範囲の広域エリアを、「広域ブロック」と呼びます。

調整力が、連系線の運用可能な範囲で広域調達された場合、調整力が各エリアに均等にあるとは限らないため、エリア毎の予備率には大小が生じます。そのため、エリア毎の予備率では需給状況のひっ迫度合を判断できず、広域ブロック予備率を見ることで初めて供給力が十分にあるかを判断できることになります。

なお、連系線に流せる容量一杯まで電気を流す場合は、供給エリアを跨ぐ需給運用が行えず、広域的な予備率に差が生じることとなるため、需給運用の連系が可能な範囲で広域的な予備率(=広域ブロック予備率)を見ることが必要となります。

広域的な予備率の算定のイメージ